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無侵襲循環機能計測による体力評価法に関する研究
研究者:袴田竜次(大学院生)
担当教員:田中志信(教授)
背景と目的 Introduction
近年の健康志向の高まりとともに自身の体力を客観評価できる簡易指標の創出が望まれています.現在用いられている体力評価の指標としては血中乳酸濃度(BLC)から得られる乳酸性閾値(LT)や血中乳酸蓄積開始点(OBLA)があり,これらの指標はアスリートの体力評価や運動療法など広く取り入れられています.しかし,BLC測定の際に血液サンプリングを要するために汎用性に欠けるうえ連続測定できないなど問題も少なくありません.そこで本研究ではこれに代わる簡易な体力指標を見出すべく,電気的インピーダンス法1)による無侵襲心拍出量計測に着目し,既存の体力指標との関係を検討しています.
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研究方法 Method
電気的インピーダンス法による心拍出量計法とは,生体組織に高周波微弱電流を通電したときの胸郭インピーダンス変化から心拍出量を無侵襲的に計測するものです.この方法により健常成人男性と女性を被験者として,エルゴメータによる多段階漸増負荷に対する心拍数(HR),一回拍出量(SV),心拍出量(CO)と共にBLCを同時計測し,各循環諸量と比較検討しています.既往研究では運動負荷に対する心拍数応答の最初の変曲点が血中乳酸濃度の増加点と一致するという報告2)がありますが,本研究では,HRだけでなくSV,COの運動負荷応答についても着目し,LT推定の可能性を検討しています.
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参考文献等 Reference
- W. G. Kubicek, et al, "Impedance cardiography as a noninvasive method of monitoring cardiac function and other parameters of the cardiovascular system" Annals New York Academy of Sciences 1970 ; 724-732
- Aleksandar Ignjatovic,et al,"Non-invasive determination of the anaerobic threshold based on the heart rate deflection point" Physical Education and Sport Vol6,No1,2008:1-10
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本研究はJSPS科研費 22650136, 24650443の補助を受けて行っています.