非侵襲的な筋原性・神経原性疾患特異的な運動単位の解析
研究者:西川 裕一(助教)学外共同研究者:渡邊 航平(中京大学・教授)・Aleš Holobar(Maribor University・Full Professor)
筋萎縮性側索硬化症は進行性の病気です。診断には、針筋電図法と呼ばれる針電極を筋肉に直接刺入して、筋肉の異常な活動を評価する手法が用いられています。しかしながら、この手法は侵襲性が高く、患者にとって非常に苦痛な評価になります。また、異常を判断する際には、筋活動の波形を視覚的に評価するため、正確な診断をするためには十分な経験が必要となります。
我々の研究室では、多チャンネル表面筋電図を用いることで、非侵襲的に筋活動の異常を検知し、その異常を定量化することで、経験に左右されない新たな診断手法として確立することを目的としています。 |
本研究では、64個~128個の表面電極を用いて運動神経の解析を行っています。いままでは、大腿四頭筋や上腕二頭筋といった筋肉を対象に解析を行っています。本研究では、全筋レベルでの筋活動解析や、個々の運動神経の詳細な活動をCKC methodという手法を用いて行っています(Holobar et al., 2014)。筋萎縮性側索硬化症患者は、運動単位数の減少や運動単位の活動が遅延することが針筋電図による検査により明らかになっています。我々はこれまでに、健常者と比較して筋萎縮性側索硬化症は検出される運動単位数が著明に減少していること、運動単位の動員が遅れていることを非侵襲的かつ定量的に検出できることを、少数例(4例)ではありますが確認することができています。この知見を発展させ、今後症例数を増やし、また他の疾患群と比較を行うことで、新たな診断手法としての応用を行っていく予定としています。 |