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Identification of the laterality of motor unit behavior in female patients with Parkinson’s disease using high‐density surface electromyography

European Journal of Neuroscience. 2021;53:1938-1949.
*corresponding author
 西川 裕一(金沢大学)*
 渡邊 航平(中京大学)
 Aleš Holobar (Maribor University)
 前田 憲明(広島大学)
 丸山 博文(広島大学)
 田中 志信(金沢大学)
背景と目的 Introduction
 パーキンソン病は発症頻度の高い神経難病の一つであり,運動障害や認知機能障害を呈することが特徴です.パーキンソン病は,中枢神経系の調整不全により,運動神経の活動異常が生じます.1990年代に行われた研究において,健常者と比較してパーキンソン病は,不規則かつ過剰な運動神経の活動が生じていることが報告されています(Enoka et al., 1994).臨床的に,パーキンソン病の運動症状は片側性を示し,症状に左右差があることが知られています.しかしながら,運動神経の活動異常の左右差を明らかにした報告はありません.
 我々の研究室では,この点に着目し,病初期のパーキンソン病患者を対象に無侵襲運動神経計測により,運動神経の活動異常の片側性を明らかにすることを目的に研究を行いました.
研究方法 Method
 女性パーキンソン病患者11名と同年代の健常女性9名を対象に含めました.対象者は,最大筋力(MVC)を測定したのち,最大筋力の30%の力を20秒間維持する運動課題を行い,運動課題の運動神経の活動を外側広筋(太ももの筋肉)から得ました.運動神経の活動解析にはDecomposition techniqueを持ちました(Holobar te al., 2014).
結果 Results
 パーキンソン病患者は,健常者と比較して有意に過剰な運動神経の活動を呈し,病初期(発症2年前後)で運動症状がほとんどない~軽度であっても,健常者とは異なる活動を呈すること,明らかな左右差があることを検出することができました.
結論 Conclusions
 本研究により,パーキンソン病は病初期から明らかな運動神経の活動異常を呈しており,運動神経機能の左右差が顕著にみられていることが分かりました.また,運動神経の活動異常と症状の重症度には相関関係があることがわかり,今回の研究で用いた測定方法は,病気の重症度の判定などにも応用できる可能性が示唆されました.